2年前に9900Kを購入して満足していましたが、最近IntelとAMDのCPU競争が盛り上がっており、
Ryzen 5000シリーズでIntelを超えたという話があるのと、新しく発売するRadeonのグラボとシナジーがあるとのことでRyzen9の5950Xを購入しました。
私の環境で9900Kから5950Xに変更して性能がどのくらい変わるのかを調べ、空冷(NH-D15)で使用できるのかを調べてみました。
※記事の前半の5950Xはデフォルト値で比較してます。
記事の後半でPBO調整後とデフォルト比較をしてます。
PBO +
Curve Optimizerについて追記
AGESA1.2.0.8で使用中の設定を追記
公式の仕様書から抜粋。
2年前のCPUとの比較になりますが、コア数とキャッシュの容量がかなり増えました。
仕様 | Ryzen 9 5950X | Core i9 9900K |
---|---|---|
プロセス | 7 nm | 14 nm |
コア・スレッド | 16コア・32スレッド | 8コア・16スレッド |
動作クロック | 3.40 Ghz | 3.60 GHz |
最大ブースト | 4.90 Ghz | 5.00 GHz(全コアは4.70 Ghz) |
キャッシュメモリ(L3) | 64 MB | 16MB |
対応メモリ | DDR4-3200(最大128GB) | DDR4-2666(最大128GB) |
PCI-Express | Gen 4.0 、16レーン | Gen 3.0 、16レーン |
TDP | 105 W | 95 W |
変更前後の構成を記載しました。変更となるのはCPUとマザボ、SSDのSN850の3つです。
最近PCを光らすことにはまっており、熱とか吸排気とかの関係でLEDテープやファンの数等の構成を記載しています。
構成 | 変更後 | 変更前 |
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CPU | Ryzen 9 5950X @PBO 全項目AUTO | Core i9 9900K @4.9GHz固定 |
CPUクーラー | Noctua NH-D15 | |
マザーボード | ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO (WI-FI) BIOS ver.2502 | ASUS ROG MAXIMUS XI HERO (WI-FI) |
メモリ | CORSAIR VENGEANCE LPX 32GB (2 x 16GB、3600 CL16) | |
グラボ | Radeon Ⅶ (リファレンスモデル@HBM2 1200MHz設定) | |
ストレージ | SSD 256GB(OS起動用)、HDD 2TB、HDD 1TB、SSD M.2 SN750、SN850 | |
サウンドカード | Sound Blaster AE-9 | |
電源 | Seasonic PRIME Ultra Titanium SSR-850TR | |
OS | Windows10 Pro 2009(20H2) | |
ケース | Cooler Master MasterCase H500M(20cm 吸気ファン×2、負圧) | |
その他 | LEDテープ×3、LEDファンフレーム×4、14㎝ファン×1、12cmファン×3 | |
グリス | アイネックス ナノダイヤモンドグリス JP-DX1 | |
部屋の温度 | 20℃の環境で計測 |
検証ソフトは、Cinebench R15、R20、R23(10分設定)、7-ZIP(辞書サイズ32MB)で計測しました。
Cinebench(R20)では、5950Xのシングルスコアが600を超え、9900Kだと500ちょっとしか出てないです。マルチスコアは約2倍程度差が開いてます。
スレッド数が2倍なので当然の結果ですが、7-ZIPでの圧縮・展開の早さを見ると倍近く違うので仕事でZIPファイルを作成するときとかに効果を体感できそうですね。
ソフト名 | 5950X | 9900K |
---|---|---|
Cinebench R15 | Multi:4466 cb Single:271 cb | Multi:2117 cb Single:214 cb |
Cinebench R20 | Multi:10246 pts Single:632 pts | Multi: 5060 pts Single:506 pts |
Cinebench R23 | Multi: 26019 pts Single:1613 pts | Multi: 12665 pts Single:1289 pts |
7-ZIP | 圧縮:115529 KB/s 展開:2334720 KB/s | 圧縮: 58368 KB/s 展開: 971720 KB/s |
検証ソフトは、DirectX 11のGTAⅤのベンチマーク、DX12設定のシャドウ・オブ・ザ・トゥームレイダー、
Vulkanのシリアルサム4のベンチで計測。
MHW(DX12)は実プレイの結果を知りたかったので、WQHDのみ計測しました。
※グラボは2世代前のものを使用しているので高FPSは出てないです。
最小値を見ると、5~10FPSほど5950Xの方が出ている結果となりました。
トゥームレイダーはフレームが上がったかのかわからないですが、CPUレンダリングはかなり差が開いてます。
MHW:IBは、12分程の計測でモンスターの動作がランダムのため、同一条件ではないですが若干フレームが出るくらいの結果になりました。
ソフト名 | 5950X | 9900K |
---|---|---|
GTAⅤ | 最高: 79 最小:41 平均:55 | 最高: 72 最小:38 平均:49 |
SOTTR(GPU) | 最高:138 最小:66 平均:87 | 最高:139 最小:66 平均:88 |
SOTTR(CPUレンダリング) | 最高:498 最小:191 平均:296 | 最高:474 最小:178 平均:269 |
Serious Sam4 | 最高:139 最小:70 平均:104 | 最高:124 最小:64 平均:91 |
MHW:IB | 最高:103 最小:56 平均:79 | 最高: 97 最小:48 平均:75 |
FHDでも5950Xの方が高いFPSがでる結果となりました。
シリサムの最小値が9900Kより低い結果となりましたが、それ以外は9900Kより良い結果になっています。
トゥームレイダーに関してはWQHDと同様、CPUの結果がかなり離れていました。
(SOTTRのベンチではフレームが向上してるかわかりにくかったのでFarCry5で計測すれば良かったと後悔)
ソフト名 | 5950X | 9900K |
---|---|---|
GTAⅤ | 最高:138 最小:59 平均:77 | 最高:125 最小:36 平均:58 |
SOTTR(GPU) | 最高:210 最小:91 平均:125 | 最高:213 最小:91 平均:126 |
SOTTR(CPUレンダリング) | 最高:532 最小:201 平均:305 | 最高:493 最小:182 平均:277 |
Serious Sam4 | 最高:186 最小:54 平均:131 | 最高:160 最小:72 平均:112 |
ここまではPBOの設定をすべてAUTO設定にしてマザボの初期設定値のままで5950Xを使っていました。
PBOの設定を変更して空冷最強クラスのNH-D15でどのくらいの温度とクロックでできるのか調べました。
すべてデフォルト(PBO等はマザボ設定でAUTO、PPT等もAUTO)の場合ですが、Cineベンチを回すときは3.9Ghz~4.4Ghzを行き来し、温度が59℃でした。
しかし、Prime95やOCCTのデータセット小・AVX2で回してみたところ、制限に引っかかったせいか周波数が3.2Ghz~3.4Ghzとなりました。
Ryzen Masterで見てみると、設定値がPPT142、TDC95、EDC140で各上限に達したため、3.4Ghz程しかでないことが原因でした。
マザボの設定値を「PPT300、TDC220、EDC200、制限温度90度」に変更したところ、Cineベンチはマルチで4.2Ghz~4.8Ghz、シングルで4.8Ghz、OCCTは4.2Ghzまで出ました。 R20のシングルスコアは若干落ちましたが、マルチは伸びています。OCCTはPBO有効だと4.2Ghzで90度にまで達してしまいました。
電圧を下げれば温度も下がると思うので、設定値を「PPT300、TDC220、EDC200、制限温度88度、電圧オフセット-0.1」で回してみました。
するとOCCT実行時は全コア4.2Ghzで82度まで下がりました。82度なら許容範囲内ですね。
OCCTのデータセット小が高負荷なので、実作業で高負荷がかかる動画のエンコードを試してみました。
適当に録画したゲームをAviUtlでH.265出力して試したところ、4.4Ghz~4.5Ghzで最高78度でした。エンコードも早い。
空冷のNH-D15でPBOを使用する場合は、温度制限をするかPPTの値を下げて80度前後に押さえるのが良い感じだと私は思いました。
5950X(デフォルト) | 5950X(PBO・電圧調整) | |
---|---|---|
電圧 | デフォルト | オフセット -0.1 |
R20のスコア | Multi:10246 pts Single:632 pts | Multi:11075 pts Single:615 pts |
周波数(R20のマルチ実行時) | 3.9Ghz~4.4Ghz | 4.2Ghz~4.8Ghz |
温度 (R20のマルチ実行時) | 最高:59℃ | 最高:72℃ |
周波数(R20のシングル実行時) | 4.8Ghz | 4.8Ghz | 周波数(OCCTデータセット小) | 3.2Ghz~3.4Ghz | 全コア4.2Ghz |
温度 (OCCTデータセット小) | 最高:62℃ | 最高:82℃ | 周波数(AviUtl H.265出力) | 未計測 | 全コア4.4Ghz、一部4.5Ghz |
温度 (AviUtl H.265出力) | 未計測 | 最高:78℃ |
PBOをオフにしてLLCをLeverl 3に設定、電圧をオフセット -0.1 に変更してOCCTデータセット小が1時間回せる値を確認しました。 結果ですが、4.2Ghzで73℃~80℃になり、4.3Ghz以上を設定するとOSごと落ちてしまい不安定になりました。(電圧を上げても同じ現象。温度が原因?)
OCCTが落ちない範囲でCineベンチを回しましたが、デフォルト設定と比べるとマルチは向上、シングルは下がる結果になりました。PBOを有効にすると処理するコアだけが4.7Ghzくらいになるので差が開いた感じです。 PBO有効時に比べてシングルが少し下がり、電圧を変更してもクロックを上げることができず安定しないので、私は固定OCでの運用を止めてPBOで温度制限を使用します。
5950X(デフォルト) | 5950X(OC固定) | |
---|---|---|
R20のスコア | Multi:10246 pts Single:632 pts | Multi:10548 pts Single:541 pts |
周波数(R20のマルチ実行時) | 3.9Ghz~4.4Ghz | 4.2Gh |
温度 (R20マルチ実行時) | 最高:59℃ | 最高:64℃ | 周波数(OCCTデータセット小) | 3.2Ghz~3.4Ghz | 4.2Ghz |
温度 (OCCTデータセット小) | 最高:62℃ | 最高:72℃ |
マザーボードのC8HがついにSAMに対応し、AGESA 1.1.8.0になったためPBO2を使用できる環境になりました。
ASUSのUEFIで設定できる場所ですが、「Advance」- 「AMD Overclocking」にあります。
ここでコアごとに電圧下げ幅を指定できます。
私の環境ですが、電圧のオフセット
-0.05 にした状態でCOで全て-15を指定すると、アイドル時に再起動がかかるようになりました。(負荷がかからない状態で電圧が下がりすぎたかも)
なので、電圧はAutoにして「Curve Magnitude」を-7、-10、-15にしました。(Ryzen Masterで★が付くコアを-15、●は-10に)
結果ですが、R20のマルチスコアが11392 ptsになり、シングルスコアが632 Pts になりました。シングル・マルチ共にスコアが若干UPしてます。(+317、+17アップ)
AGESA 1.2.0.8になり安定して使用している設定値について記載します。AGESAを更新するたびにメモリと電圧の調整値が変わり、その都度調整が面倒になったので公式機能で調整しています。 個人用のメモみたいなものですので参考程度に。空冷なのでR23のマルチ実行時は全コア4.3GhzでMAX 84度、スコアが28720pt程度。ゲーム時は全コアフルで動くことは希なので1コア5.0Ghz出ることがあるくらいです。